"東洋医学"カテゴリーの記事一覧
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しばらくぶりの東洋医学的な文章の更新です。
今回は東洋医学の基本をなす物質・気のお話。
気と言うとどんなイメージでしょうか。
こんなでしょうか。
あるいはこんなのとか。
院長も昔はこういうのに憧れて、学研が出している超能力開発の本とかを読み漁って親にえらく心配されたものでした。
教科書的には、気はこのように定義されています。
「気は、活力があり、休むことなく活動する精微な物質である。」
「気には、すべての臓腑・器官・組織の新陳代謝などを推し進めるはたらき(推動作用)や、体熱を産生、保持するはたらき(温煦[おんく]作用)、さらに疾病の原因から生体を守るはたらき(防御作用)などがある。」
※[]は読み方。以下同じ
(東洋療法学校協会編 東洋医学概論より)
また気の種類として「原気(元気)」「宗気[そうき]」「営気(栄気)」「衛気[えき]」「真気(正気)」「臓気」「経気」「胃気[いき、いのき]」などの種類があり、攻撃方法としての気は見つかりませんでした。
話はちょっとそれますが、院長は合気道をやっています。
これを話すと1割ぐらいの方に
「合気道って気で倒すんですか?」
と聞かれます。
私の合気道の先生は気で云々という指導はなさいません。「気というあいまいな概念を持ち込むと、気がわからない人は技ができないと思ってしまうから」というようなことを言われたことがあります。でも私の合気道の先生はすごい方なので、もしかしたら無意識に気で投げてるのかもしれませんが・・・。
他の道場では「気だ!」と言う指導をされる先生もいらっしゃるようなのである意味攻撃方法としての気も存在するかもしれませんが、ここではそれは除外したいと思います。
現在のところ、気を科学的に検知できる手段がありません。なのでおおっぴらに「気は存在します」というとどこぞの高名な物理学の先生に怒られてしまうかもしれません。なので気の弱い院長は声高にいうことができません。
ですが院長としては「気は存在する」と感じています。
つづく。PR -
鍼を語る上での重要なキーワード「響き」。
お笑い芸人とは関係ありません。
「響き」とは鍼治療独特の治療感で、体の奥が重だるく感じたり、しびれが走るような感覚をいいます。
響きは治療効果にどんな影響があるのでしょうか。
そもそも鍼は何故効くのでしょうか。
細かく書くと本が1冊書けてしまうような内容なのでかなり省いてご説明しますと、
「人間の体は外部からの刺激が加わると、それによって反応を起こすことで体が改善される」
ということなのです。
鍼を刺すと、大体その周りがほんのりと赤くなってきます。
これは鍼の刺激によって体の内部で信号の伝達が行われ、鍼の近くの血管が広がり血流がよくなるために生じます。専門用語で「軸索反射」といいます。また皮膚からの刺激によって自律神経の働きに影響を与えたり、内臓の活動が活発になる等といった反応を起こすことが明らかにされています。
中国では数千年前から鍼に鎮痛効果があることが知られていました。また今からおよそ40年ほど前、虫垂炎の手術を鍼を使った麻酔で行ったというニュースで「鍼麻酔」が有名になりました。実際には麻酔といっても完全に感覚がなくなるわけではなく、「苦痛を我慢できる程度に和らげる」という感じなのですが、ともかく鍼で痛みをどうにかできることは認められてきたようです。
これらの効果の引き金になるのが先の「響き」なのです。
人体には触覚・痛覚・温感・冷感などを感じる部位があります。感覚受容器と呼ばれています。
響きはこの感覚受容器が伝えているものと考えられています。
人体は外部から刺激を受けると、その複雑な機構を通じて体内にモルヒネ様の物質を作り出します。
その物質が出来ることで痛みを和らげるのが鍼の効果の仕組みの基本と考えられています。
では、響きがないと鍼は効かないのでしょうか。
響きは通常皮膚から数十mmと比較的深く刺した場合に得られます。しかし日本で発達した「経絡治療」という手技は皮膚から数mmしか刺さず、その為響きは得られません。ですがこの流派で治療している先生方も効果的な治療をされています。
どうやら響きだけが治療効果の全てではないようです。
では何故効くのでしょうか。
ある書物では、「鍼は気を動かす」と書かれていました。
気・・・なんだかそれっぽくなってきました。
次回以降、気についてお話ししていきたいと思います。 -
今回は鍼の種類の話です。
何故人は鍼を使用して治療するようになったのか。
前回の話と総合すると、
「『肌に何かあてがうと痛いのが取れた』ということを経験的に知ったから」
ということになります。
道具は最初は石のハリ(ヘンセキといいます↓)だったようです。それが金属に変わっていきました。
「ハリ」を指す「鍼」と言う時の成り立ちですが、「かねへん(金)」は金属を表し、つくりの「咸」は封じることを表すのだそうです。つまり鍼は金属で(病を)封じる、と言うところから来た会意文字なのです。
ちなみに「咸」の字の意味は↓
「口+戌(ほこをもつ)」で、刃物で強いショックを加えて口を封じることで、あわせて封じこむ意をふくむ。転じて「おしなべて、みな」の意に用いる。感の 原字
※針という字は主に縫い針を指します。漢字字典によって鍼と同義としているものもあります。
さて、「鍼で刺す」というと気になるのが痛さではないでしょうか。
例えば縫い物をしていて指に針が刺さると、夢中でやっている時などとんでもなく痛く感じますし、注射にいたっては子供から大人まで「好き」と言う方はあまりいらっしゃらないでしょう。
鍼の痛みはその太さによるところが大きいのです。
細ければ細いほど痛みは少ない傾向にあります。
通常皮下注射では0.40~0.55mm、動・静脈注射や筋肉注射では0.65~0.80mmの太さのものを使用するそうです。
また最近糖尿病患者用のインシュリン注射に使用する「痛くない注射針」というのがあるのですが、それは0.20mm程度だそうです。
一方縫い針は、こちらも用途によって太さもいろいろですが、一番細いものは0.4mm程度のものがあるようです。
http://www.clover.co.jp/hari/itiran.shtml
さて、鍼灸の鍼はどうでしょう。
当院で主に使用しているのは0.2mm、他に顔面に刺したり軽めの刺激をする場合に使用する鍼で0.16mmのものがあります。何と皮下注射用の針の外径の半分です。更に皮下注射用の針は注射液を通すために管状になっているわけですが、何とその管の内径とほぼ同じ太さなのです。
実際患者さんの中では鍼が体に入ったことすら気付かないという方もたまにいらっしゃいます。
こんなエピソードから、鍼灸の鍼は注射や縫い針よりは痛くなさそうだと感じていただけると幸いです。
ただ、患者さんとの会話ではこんなことがあります。
患:鍼が入ってくると、突然ドカンって痛くなることがあるよね。
私:それって体の奥の方がドンと重くなるような感じですかね?
患:そうそう!あれ気持ち悪いんだよね~。
私:それは「響き」っていうんですよ。
響きとは一体!?
次回につづきます。
次回につづいちゃって
・・・似ない・・・。 -
やっと治療院ブログらしい記事です。
皆さんは「鍼灸」と聞いて何を連想するでしょうか。
・鍼は痛そう
・灸は熱そう
・昔うちのばあちゃんが通ってた
・子供の頃罰でお灸を据えられた
等々。
そもそも鍼灸とは何なのでしょうか。
私が使っていた鍼灸学校の教科書ではこんな感じで書かれています。
・鍼術の定義
一定の方式に従い、鍼をもって身体表面の一定部位に、接触または穿刺刺入し、生体に一定の機械的刺激を与え、それによって起こる効果的な生体反応を利用し、生活機能の変調を矯正し、保健および疾病の予防または治療に広く応用する施術である
・灸術の定義
一定の方式に従い、艾(もぐさ)を燃焼させ、またはこれに代わる物質を用いて、身体表面の一定部位に温熱的刺激を与え、それによって起こる効果的な生体反応を利用し、生活機能の変調を矯正し、保健および疾病の予防または治療に広く応用する施術である
(東洋療法学校協会 はりきゅう理論より)
簡単に言うと、
「鍼を体に触れさせたり刺し込んだりすると身体が反応を起こし、それによって身体を改善させる」
「灸を肌の上で燃やしたり、他の何かを載せて温めると身体が反応を起こし、それによって身体を改善させる」
という感じです。
何だかわかるようなわからないような感じですね・・・。
そもそも何故「はり」「きゅう」なのでしょうか。何でとがったものやら熱いものを使うのでしょうか。
それはもっとずっとずっと、治療という概念の大元を考える必要があります。
例えばお腹が痛くなった時、人は自然とお腹に手を当てます。「手当て」という言葉もあるとおり、痛い部分を
押したり揉んだり、または傷口を舐めたりといったことは日常的に誰でも経験があることと思います。それは
原始の人々も同じことを経験していたと考えることが出来ます。
↑大昔、こんなやりとりがあったかも・・・
やがて原始の人々は道具を使うようになります。石や木の葉や泥を患部にあてがったり、火を利用するようになると温めることで患部の痛みが軽減することを経験することによって、身体の痛みを取るために道具を使用するようになります。
石器時代では細く鋭い石器で皮膚を切り膿を出すことで治療ができることを経験すると、そこから石の鍼が生まれ磨製石器、金属器と発達していき、やがて金属の鍼が誕生していくこととなるのです。
↑これも一種の薬?
このように、鍼灸は大昔の人が経験してきた「体調不良を楽にする方法」の集積なのです。
鍼が痛そうなのや、灸が熱そうなのは伊達じゃないのです。
言葉がなかった頃からの人類が蓄えてきた治療技術の粋を集めたものが鍼灸だなんて、何だかロマンを
感じてしまいます。
次回以降、鍼と灸についてもう少しお話ししていきます。