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鍼を語る上での重要なキーワード「響き」。
お笑い芸人とは関係ありません。
「響き」とは鍼治療独特の治療感で、体の奥が重だるく感じたり、しびれが走るような感覚をいいます。
響きは治療効果にどんな影響があるのでしょうか。
そもそも鍼は何故効くのでしょうか。
細かく書くと本が1冊書けてしまうような内容なのでかなり省いてご説明しますと、
「人間の体は外部からの刺激が加わると、それによって反応を起こすことで体が改善される」
ということなのです。
鍼を刺すと、大体その周りがほんのりと赤くなってきます。
これは鍼の刺激によって体の内部で信号の伝達が行われ、鍼の近くの血管が広がり血流がよくなるために生じます。専門用語で「軸索反射」といいます。また皮膚からの刺激によって自律神経の働きに影響を与えたり、内臓の活動が活発になる等といった反応を起こすことが明らかにされています。
中国では数千年前から鍼に鎮痛効果があることが知られていました。また今からおよそ40年ほど前、虫垂炎の手術を鍼を使った麻酔で行ったというニュースで「鍼麻酔」が有名になりました。実際には麻酔といっても完全に感覚がなくなるわけではなく、「苦痛を我慢できる程度に和らげる」という感じなのですが、ともかく鍼で痛みをどうにかできることは認められてきたようです。
これらの効果の引き金になるのが先の「響き」なのです。
人体には触覚・痛覚・温感・冷感などを感じる部位があります。感覚受容器と呼ばれています。
響きはこの感覚受容器が伝えているものと考えられています。
人体は外部から刺激を受けると、その複雑な機構を通じて体内にモルヒネ様の物質を作り出します。
その物質が出来ることで痛みを和らげるのが鍼の効果の仕組みの基本と考えられています。
では、響きがないと鍼は効かないのでしょうか。
響きは通常皮膚から数十mmと比較的深く刺した場合に得られます。しかし日本で発達した「経絡治療」という手技は皮膚から数mmしか刺さず、その為響きは得られません。ですがこの流派で治療している先生方も効果的な治療をされています。
どうやら響きだけが治療効果の全てではないようです。
では何故効くのでしょうか。
ある書物では、「鍼は気を動かす」と書かれていました。
気・・・なんだかそれっぽくなってきました。
次回以降、気についてお話ししていきたいと思います。 -
今回は鍼の種類の話です。
何故人は鍼を使用して治療するようになったのか。
前回の話と総合すると、
「『肌に何かあてがうと痛いのが取れた』ということを経験的に知ったから」
ということになります。
道具は最初は石のハリ(ヘンセキといいます↓)だったようです。それが金属に変わっていきました。
「ハリ」を指す「鍼」と言う時の成り立ちですが、「かねへん(金)」は金属を表し、つくりの「咸」は封じることを表すのだそうです。つまり鍼は金属で(病を)封じる、と言うところから来た会意文字なのです。
ちなみに「咸」の字の意味は↓
「口+戌(ほこをもつ)」で、刃物で強いショックを加えて口を封じることで、あわせて封じこむ意をふくむ。転じて「おしなべて、みな」の意に用いる。感の 原字
※針という字は主に縫い針を指します。漢字字典によって鍼と同義としているものもあります。
さて、「鍼で刺す」というと気になるのが痛さではないでしょうか。
例えば縫い物をしていて指に針が刺さると、夢中でやっている時などとんでもなく痛く感じますし、注射にいたっては子供から大人まで「好き」と言う方はあまりいらっしゃらないでしょう。
鍼の痛みはその太さによるところが大きいのです。
細ければ細いほど痛みは少ない傾向にあります。
通常皮下注射では0.40~0.55mm、動・静脈注射や筋肉注射では0.65~0.80mmの太さのものを使用するそうです。
また最近糖尿病患者用のインシュリン注射に使用する「痛くない注射針」というのがあるのですが、それは0.20mm程度だそうです。
一方縫い針は、こちらも用途によって太さもいろいろですが、一番細いものは0.4mm程度のものがあるようです。
http://www.clover.co.jp/hari/itiran.shtml
さて、鍼灸の鍼はどうでしょう。
当院で主に使用しているのは0.2mm、他に顔面に刺したり軽めの刺激をする場合に使用する鍼で0.16mmのものがあります。何と皮下注射用の針の外径の半分です。更に皮下注射用の針は注射液を通すために管状になっているわけですが、何とその管の内径とほぼ同じ太さなのです。
実際患者さんの中では鍼が体に入ったことすら気付かないという方もたまにいらっしゃいます。
こんなエピソードから、鍼灸の鍼は注射や縫い針よりは痛くなさそうだと感じていただけると幸いです。
ただ、患者さんとの会話ではこんなことがあります。
患:鍼が入ってくると、突然ドカンって痛くなることがあるよね。
私:それって体の奥の方がドンと重くなるような感じですかね?
患:そうそう!あれ気持ち悪いんだよね~。
私:それは「響き」っていうんですよ。
響きとは一体!?
次回につづきます。
次回につづいちゃって
・・・似ない・・・。