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もり鍼灸治療院ブログ

千葉県市川市、JR本八幡駅南口から徒歩5分の所にある治療院です。時々健康や医学的な話、大体は院長の趣味・興味の話をお届けしています。

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胃の痛み
今回は症例についてです。治療院ブログなのでたまにはそれらしいことも書くのです(苦笑)。

今回の症例はMさん、男性30代後半。内緒ですが私のことです。
数日来胃のあたりがしくしくと痛む。15年ほど前に胃潰瘍の既往あり。
以前の同様の症状の場合はお腹にあるツボ「中[月完](ちゅうかん。[]でくくっている文字はこれで一文字であることを表す)」に鍼を刺し、その上に灸を載せて燃やす「灸頭鍼」を行って回復していました。ちょっと食べ過ぎたりストレスでイライラした時の胃痛は大体これで治っていたのです。
ですが今回はこれで回復しませんでした。そうなると他の代表的な胃経のツボ「足三里」「胃兪」にお灸をしましたが、多少楽にはなるもののやはり今ひとつすっきりしません。これは何が悪いのか…?

そこで考え方を変えることにしました。
痛みのある場所は解剖学的には胃のある部分の近く。だから直接胃に関するツボを刺激していました。別の言い方をすると「心下部(心窩部)」。上腹部の胃の辺り、鳩尾(みぞおち)の部分を指します。確かにここが痛い。
東洋医学では「心下満(しんかまん)」という言葉があります。心下部がつかえて苦しい状態のことです。自覚的には「痛い」と書きましたが、苦しいといえば苦しい…じゃあ心下満に対応する治療をしよう!と。

心下満の時は「井穴(せいけつ)」を使用します。井穴とは単独のツボの名前ではなく、ある種の属性を表します。井穴は「気の出るところ」の意味があり、心下満を主治します。井穴は12の臓腑につながる「正経十二経脉」のなかで、手足の末端に位置しています。今回は他の状態から判断して、やはり飲食物の消化・吸収に関わる「足の太陰脾経」の井穴、「大敦」を選択、ていしん(刺さない鍼)で刺激を加えました。鍼を当てると心下部が徐々にすっきりしてくる感じ。その後翌日には症状がなくなっていました。

鍼灸は肩こり・腰痛・神経痛など、筋肉や神経の症状に聞くことは良く知られていますが、こういった内臓への働きかけにも優れています。施術中にお腹がゴロゴロ鳴り出したり、大きな“ガス”が出る方もしばしば…。
「施術が終わって家に帰ったら三日ぶりに“出た”よ~!ありがとう!」
なんて話も良く聞きます。

便秘のツボについては、また後日。
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